第13回ソラオトカフェ開催レポート

By terada, 2016年4月23日


2016年4月16日 第13回ソラオトカフェ レポート
新年度最初のソラオトカフェは、イルカの声と行動について研究をされている東海大の吉田弥生さんにゲストとしておいで頂きました。ソラオトカフェのゲストとしてはこれまでで1番の遠方からおいで頂きました。先月も南米チリにて海外の研究者と一緒にイルカの調査をしてきたばかりの吉田さん。最前線で活躍されるイルカ研究者の生のお話を聞ける機会としてとても貴重な会、スタッフも意気込んでおりました!
お話は、イルカの声と言っても、実際には「ホイッスル」、「バーストパルス」、「クリックス」などいろんな種類があって、どうやらその声を目的によって使い分けているということからスタートしました。その中でも「クリックス」は人間が聴こえる高さを越えた周波数の高さで、視覚があまり使えない海の中で、イルカはこの音を頼りに泳ぎまわっているとのこと。でも群れの中で混信しないというのは謎も多く、非常に興味深い点でした。また日本近海に生息しているイルカの種類など基本的なこともお話してくれました。
そして、お話は行動生物学へ。動物の研究をする上での視点について、「どのように研究を進めていくのか」という研究者の目線をお話してくれました。そこで聞き慣れない4つのキーワード、「至近要因」、「究極要因」、「発達要因」、「系統進化要因」を挙げられました。動物の研究をする上で、ある疑問や課題を明らかにしたいと考えた場合、それが上の4つの枠組みの中でどのような疑問となるのかを考え、それぞれについて明確に答えることで初めてその疑問が明らかになったとされるそうです。少し難しいなと思ったこの専門用語を吉田さんは分かりやすく、順番に「体内のメカニズム」、「適応度」、「後天的獲得」、「進化」と噛み砕いて頂き、「ホイッスルによるコミュニケーションとは何か」という架空の疑問について、実際に参加者のみなさんとともに考える時間を作ってくれました。
また日頃イルカの研究を進めていく中で、とても大切な活動として「観察」を挙げられました。定説として言われていることにも常に疑いの眼差しを向け、観察を通じてその疑問を考えていくという地道な活動のお話も楽しくお話くださいました。水族館で観察中の札を下げている方を見かけたら、そぉーっとしておいてあげてくださいね!当たり前かもしれませんが、いきなり野生のイルカの観察をするのは観察する条件としてはハードルが高く、水族館のイルカの観察で検討したのち、野生のイルカでも本当にそうなのかを観察されるそうです。
そして話題は水族館へ。そもそも水族館とは何のためにあるのか。様々な素朴な疑問にもお答えいただきながら、最後には、人とイルカ(動物)との関係へ。告知の文章にも書きましたが、イルカを含めた捕鯨に関しては、これを読んで頂いている方も様々な意見があることでしょう。吉田さんも参加者の方々に吉田さんご自身の疑問を投げかけられ、参加者の方々もそれに応えてくれました。
「地域」、「文化」、「食」、「宗教」、「政治」、「自然環境」などなどが複雑に関係し合い現状があります。生きていく中で様々考えることは他にもたくさんあるでしょう。ソラオトスタッフ自身も、様々考える中で、この捕鯨の問題は今後も考え続けたい!と改めて心の中で思いながら、いざ懇親会へとなりました!
新年度が始まったばかりのご多忙のところ、遠方から駆けつけてくださった吉田さんには大感謝です!面白かった、参加者とのやり取りがカフェならでは!と大好評でした!また、様々な疑問をぶつけてくださった参加者の皆さん、ありがとうございました!!みなさんのおかげで13回も続けてこれました!次回にも乞うご期待です!!ありがとうございました!

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